「内断熱って結露が起きやすいってほんと?」
「結露はどうやって対策すればいいの?」
住まいの断熱には『内断熱(充填断熱工法)』と『外断熱(外張り断熱工法)』の2種類があります。外壁と柱の間に断熱材を設置して家を丸ごと包み込む外断熱に対し、内断熱は柱と柱の間に部分的に断熱材を設置するのが特徴です。
内断熱は日本で昔から使われている手法であり、現在建てられている住まいの多くに取り入れられています。しかし、その内断熱が住まいの大敵である結露が起きやすいというのはご存知でしたでしょうか。
結露は、住まいとそこに住む人にさまざまな悪影響を及ぼすとても危険なものです。しっかりと対策をしておかないと、家が内側から崩壊してしまいます。とはいっても、どのように対処すべきなのかわからない人がほとんどのはず。
そこで本記事では、内断熱の結露について詳しく解説します。与える悪影響やその対処法についても詳しく解説するため、ぜひ最後まで読んでみてください。
内断熱とは
内断熱とは、柱と柱の間に部分的に断熱材を設置する方法です。充填断熱工法とも呼ばれ、日本で昔から使われている方法になります。
昔から使われている方法のため、使用できる断熱材の種類も多く、比較的安価で施工が可能です。また、壁内のスペースを有効活用でき、断熱材用のスペースを設ける必要がありません。そのため、自由度の高い外観デザインの住まいを実現できます。
しかし、もうひとつの断熱工法である外断熱と比較すると気密性が低く、隙間ができやすいことがデメリットです。住まいに隙間があることで結露ができやすく、対策をしっかりと行う必要があります。
メリット | デメリット |
---|---|
・比較的安価で施工可能 ・壁内のスペースを有効活用できる | ・隙間ができやすい ・内部結露が起きやすい |
内断熱で起こりやすい結露とは
まず、結露とは、水蒸気を含んだ空気が冷やされることによって、水滴となって現れる現象のことです。結露には2種類あり、『外部結露』と『内部結露』に大別できます。
外部結露は表面結露とも呼ばれ、窓や水回りなどに発生する結露のことです。内部結露とは、壁の内側で起こる結露のことを指します。
どちらも住まいにおいてはカビやダニを繁殖させるなど、デメリットでしかありません。しかし、特に気をつける必要があるのは内部結露です。
内部結露は外部結露とは違い、目で確認できません。知らないうちに住まいを崩壊させていくため注意が必要です。
内部結露によって起こる悪影響
ここでは、特に気をつけるべき内部結露によって起こる悪影響を見ていきましょう。代表的なものは以下の2つです。
- 家が内側から腐っていく
- 住む人の健康を害する
それぞれ以下で詳しく解説します。しっかりと確認しておきましょう。
家が内側から腐っていく
1つ目は、家が内側から腐っていくということです。内部結露が起こるとカビや木材腐朽菌が増殖します。以下は、内部結露によって断熱材や木材が腐った実際の写真です。
築3年ほどでも状況によっては、カビだらけになる可能性もあります。また、木材腐朽菌によって構造材が腐り、災害時の倒壊リスクが高まってしまうため注意が必要です。
内部結露は、壁の中で起こることで気づきにくく、壁の変色によって初めて気づくこともあります。知らないうちに家を蝕んでいるため、事前に対策することが重要です。
住む人の健康を害する
2つ目は、住む人の健康を害することです。内部結露が発生する住まいは、家全体にカビが生えやすくなります。
放っておくとカビにダニが集まり、アレルギーやぜんそくなどの病気が発症する原因になるため注意が必要です。内部結露によって、家族を守るための住まいが、住む家族の健康を害する1番の原因になってしまいます。
カビやダニを繁殖させないために、24時間換気システムを使用したり、調湿性能のある自然素材を取り入れるのもひとつの方法です。設計プランの段階から結露対策を考えてみましょう。
内断熱の結露を防ぐ3つの方法
ここでは、内断熱の結露を防ぐ方法を紹介します。方法は以下の3つです。
- 隙間なく断熱材を施工する
- 高気密高断熱にする
- 防湿気密シートや通気層を作る
それぞれ以下で詳しく解説するため、必ずチェックしておきましょう。
隙間なく断熱材を施工する
1つ目の方法は、隙間なく断熱材を施工することです。隙間なく断熱材を施工できれば、水蒸気を含んだ空気が冷やされる頻度を減らせるため内部結露を防げます。
しかし、筋交いやコンセント部分などに隙間なく断熱材を施工するのは難易度が高く、注意が必要です。高い技術力を持った会社に依頼することが必須になるため、会社選びには十分注意しましょう。
また、使用する断熱材を厳選することもひとつの方法です。グラスウールやセルロースファイバーは耐水性が低く、湿気を通しやすい特徴があります。
ウレタンなどを使用した吹付断熱という方法は耐水性が高く、施工も専門業者が担当してくれるためおすすめです。
高気密高断熱にする
2つ目の方法は、高気密高断熱にすることです。高気密高断熱の住宅は、外気の影響を受けづらく、室内の熱を逃しにくいため結露を防止できます。
また、家全体を一定の温度に保てることで部屋間の温度差による結露の発生を防止することが可能です。高気密高断熱にするには費用がかかりますが、長期的な目線で見るとメリットの方が多くあります。
中途半端な断熱性能は結露のリスクを高めるため、予算を考慮しながら高気密高断熱を取り入れてみましょう。
防湿気密シートや通気層を作る
3つ目の方法は、防湿気密シートや通気層を作ることです。防湿気密シートは、外壁の内側に貼ることで気密性を高め、室内の水蒸気を含んだ空気が外壁に触れるのを阻止します。水蒸気を含んだ空気が冷やされる機会を減らせるため、内部結露のリスクを軽減可能です。
通気層は壁内の湿気を逃すために作られる空間のことであり、外気が通れるようにすることで構造体を乾燥した状態に保てます。湿気を壁内に留まらせないため、内部結露のリスクを軽減可能です。
上記の2つを駆使すれば内部結露を高い確率で防止できます。しかし、防湿気密シートや通気層が効果を発揮するのは適切な施工がされた時のみです。依頼先の会社に技術力がなければ、効果がないものになってしまうため、会社選びには注意しましょう。
効果的に内部結露を防ぐなら外断熱がおすすめ
効果的に内部結露を防ぐなら外断熱を取り入れることをおすすめします。なぜなら、外断熱は内断熱の弱点を補うために開発された工法であるためです。
外断熱は外壁と柱の間に断熱材を設置して、家を丸ごと断熱材で包み込みます。そうすることで、内断熱よりも高い気密性を誇り、外気の影響をほとんど受けないため内部結露を防止することが可能です。
また、外断熱は壁の中に通気層があることで水蒸気を屋根から逃がせます。構造材が外気に触れないため、内部結露を防止し耐久性の高い住まいを実現可能です。
以下の記事で外断熱について詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
まとめ
本記事では、内断熱の結露が与える悪影響やその対処法について解説しました。内断熱は日本で昔から使われており、比較的安価で施工できるため多くの建物で採用されています。
しかし、内断熱は内部結露が起こりやすい工法のため注意しましょう。内部結露は住まいにも人体にもデメリットでしかありません。
将来にわたって快適かつ健康的な住まいを実現したいなら外断熱を採用することがおすすめです。費用やデザインなどにこだわることも大切ですが、これから一生住む家になることを考慮して、性能面にもこだわるようにしましょう。
本記事があなたのお役に立てれば幸いです。