「木造住宅の結露ってなんで起こるの?」
「木造住宅の結露はなぜ危険?」
木造住宅において結露は天敵とも言えるほど危険な存在です。放っておくと住まいにも、そこに住む人にも大きな被害を与えてしまいます。
知らなかったからという理由だけで、大切な家族の健康を害してしまうことは避けたいでしょう。そのためにも、しっかりと結露について理解して、適切な対策を行うことが何よりも重要です。
しかし、結露といわれてもなぜ危険なのかイメージがつかない人も少なくないはず。
そこで本記事では、木造住宅の結露について徹底解説します。結露が起こる原因やその対策についても解説するため、のちに後悔しないためにも必ずチェックしてください。
木造住宅の天敵である結露とは
結露とは、水蒸気を含んだ暖かい空気が冷たい空気に触れた結果、水滴となって現れる現象のことです。結露が起こるメカニズムには、空気が含むことのできる水蒸気量が決まっていることが深く関係しています。
空気は温度が高いほど水蒸気を多く含むことができ、空気の温度が下がると含むことのできる量が減るのが特徴です。暖かい空気が冷やされることで、空気から追い出された水蒸気が水滴になり、結露となります。
結露には『表面結露』と『内部結露』の2種類があり、どちらも起こるメカニズムは同じです。しかし、内部結露には特に注意しましょう。
なぜなら、内部結露は壁の中で起こるため、目には見えず、気づかないうちに住まいと家族に大きな被害を与えるからです。本記事では内部結露による影響や対策を解説するため、ぜひ参考にしてください。
木造住宅で結露が問題になった背景
木造住宅で結露が問題視されるようになったのは、断熱材が普及し始めた1970年代ごろです。
それまでの住まいは、流行りの気密性にこだわっておらず、隙間の多い家でした。隙間が多いが故に結露が滞留するのを防いでおり、結露問題が起こらなかったのです。
1970年代に入って断熱住宅が人気を集め、多くの家が建てられていきます。しかし、当時は結露の知識がなかったために、内部結露によって家が腐るというトラブルが全国で相次ぎました。
築3年ほどの住まいでも木材が腐り、床が抜けるほどの被害がでてしまい社会問題となっています。夏と冬の快適さを追求した結果、木造住宅において結露が問題視されるようになりました。
木造住宅の結露が危険な2つの理由
では、木造住宅の結露がなぜ危険なのか理由を見ていきましょう。代表的な理由は以下の2つです。
- アレルギーやぜんそくの原因になる
- 家が内側から腐る
それぞれ以下で詳しく解説するため、必ず確認してください。
アレルギーやぜんそくの原因になる
1つ目は、アレルギーやぜんそくの原因になることです。結露が発生すると、家の中にカビやダニが大量に繁殖します。
カビの胞子やダニの死骸は、アトピー性皮膚炎などのアレルギーやぜんそくを発症させる原因のひとつです。住む人の健康被害リスクを高めてしまうため注意しましょう。
特に、内部結露が起こると家全体にカビが生えやすくなってしまいます。家にいるだけで家族の健康を蝕んでいくため、しっかりと対策することが重要です。
家が内側から腐る
2つ目は、家が内側から腐るということです。内部結露が起こると、木材腐朽菌が発生し家を内側から腐らせていきます。
以下は内部結露によって構造材が腐ってしまった実際の写真です。
また、木材腐朽菌が発生する場所にはシロアリが寄ってくる可能性もあります。気づかないうちに家の柱や梁などの構造材が侵食され、地震の際の倒壊リスクが高まる恐れがあるため注意しましょう。
新築の場合でも内部結露が起こると3年もあれば、家は腐ってしまいます。内部結露は未然に防ぐことが重要です。
家を崩壊させる木材腐朽菌とは
木材腐朽菌とは木材を腐らせる菌のことであり、木材の主成分であるセルロースやヘミセルロース、リグニンを分解する力を持っています。湿度の高い場所の木材に発生しやすく、繁殖するほど木材の強度を低下させるため注意が必要です。
木材腐朽菌は繁殖の際に適度な水分を必要とするため、結露対策をしっかりと行えば繁殖を防ぐことが可能です。また、雨水を建物に侵入させないことも大切になります。住まいの気密性をあげたり、雨水が入った際に排出できる仕組みを取り入れましょう。
木造住宅の結露を防ぐ3つの対策
ここでは、木造住宅の結露を防ぐ対策をご紹介します。効果的な方法は以下の3つです。
- 家を高気密・高断熱仕様にする
- 外断熱で家を建てる
- 結露対策を徹底する
それぞれ以下で詳しく解説するため、結露を防ぐためにも必ずチェックしておきましょう。
家を高気密・高断熱仕様にする
1つ目の対策は、高気密・高断熱仕様にすることです。中途半端な断熱性能を持った住まいだと、逆に結露のリスクを高めてしまいます。高気密・高断熱にすることで、外気の影響を受けにくく、室内の熱を逃しにくい住まいにできるため、結露のリスクを軽減可能です。
断熱性の高さはUA値、気密性の高さはC値で測れます。家づくりの際にはUA値とC値を考慮しながら、設計プランを立てることがおすすめです。
UA値はあなたのお住まいの知識によって数値が変化します。以下の記事でUA値について詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
外断熱で家を建てる
2つ目の対策は、外断熱で家を建てることです。住まいの断熱の施工方法には、外断熱と内断熱があります。
外断熱は外壁と柱の間に断熱材を設置し、家を丸ごと断熱材で包み込む方法です。内断熱よりも高い断熱性・気密性を誇り、外気の影響をほとんど受けないため、内部結露の発生を未然に防止できます。
また、省エネ効果もあり、年間の光熱費を大幅に削減可能です。内断熱よりも年間で10万円ほど節約できるともいわれています。外断熱は高性能かつ経済的のため、積極的に取り入れてみましょう。
結露対策を徹底する
3つ目の対策は、結露対策を徹底することです。24時間換気システムを使用したり、家に自然素材を取り入れるなどの結露対策を行うことで結露のリスクを軽減できます。
自然素材には漆喰などの調湿効果を持ったものがあり、住まいの湿度を適正に保つことが可能です。ダニやカビの発生を抑制し、シックハウス症候群のリスクも軽減できます。
また、24時間換気システムを活用することで、外気の影響を受けにくい状態で室内空気の入れ替えが可能です。換気によって湿度を住まいに停滞させないため、結露のリスクを軽減できます。
まとめ
本記事では、木造住宅の結露が起こる原因やその対策について解説しました。木造住宅における結露は、住まいを想定の何倍も早く老朽化させる恐ろしいものです。将来にわたって暮らしやすい住まいを実現するためにも、結露対策を念入りに行いましょう。
結露を防止する最適な方法は、結露を未然に防ぐ設計プランを立てることです。UA値・C値を考慮したり、外断熱を取り入れるなどして、結露に強い住まいを実現しましょう。
家づくりは人生で最も高い買い物であり、ほとんどの人が一度しか経験しないことです。その1回を後悔しないためにも、本記事で解説した内容を忘れないようにしてください。
あなたの家づくりが成功することを願っております。