結露は飲み物を入れたグラスや窓、お風呂など、生活しているとよく見かけます。結露が発生すると水滴を拭き取る必要があるため大変です。
結露をなるべく発生させたくないという方は、露点温度に着目してみましょう。
この記事では、露点温度に関して、状態や求め方、及ぼす原因などについて解説していきます。露点温度の調整が結露対策に効果的な理由も紹介します。
露点温度とは
露点温度は、相対湿度に続いて、湿度パラメータとして使われています。
この露点温度は、気体を冷却していくとき、水蒸気が飽和し、結露が発生する温度です。空気が水と平衡状態にあり、飽和している温度で、セルシウス度(℃)であらわされます。
空気中には温度と圧力に応じた水分が含まれており、温度が高いほど含まれる水分は多く、低いほど少ないです。つまり、空気中に含まれている水蒸気の割合が少ないと露点は低く、水蒸気が多ければ露点は高くなります。
露点温度の求め方
露点温度計により直接測定を行うか、気温と相対湿度から水蒸気圧を求め、その水蒸気圧を飽和水蒸気圧とする温度を求めることで、求められます。
相対湿度が100%の場合、現在の温度がそのまま露点温度となります。露点温度の算出方法には以下4つあります。
- コンピューターによる自動計算
- 表計算ソフトの使用
- 湿度一測定方法の飽和水蒸気圧表などを用いて近似的に算出する
- 空気線図を用いて近似的に算出する
それぞれの測定方法に基づいたさまざまなものがあるため、予算や目的に応じて選び、測定できます。
露点温度と湿度の違い
露点温度と湿度の違いは気温に影響されるかどうかです。
湿度は気温が変化するとそれに合わせて変わりますが、露点は空気中の水蒸気量が一定であれば、気温の変化に左右されず、一定の値となります。
湿度は、同じ室内の1~2℃の温度差でも、湿度は10%程度変わることもあります。対して、露点温度は気温に影響されません。
空気中の絶対水分量を表す指標として、日常生活はもちろん、工業生産など幅広い場面で重要視されています。
露点温度が有用なパラメータとして使われている理由
露点温度は、多くの場面の有用なパラメータとして使われています。露点温度は、乾燥用途だけでなく、空調用途や換気用途および高湿度の用途でも有用な指標です。
相対湿度は温度に依存するため、安定した温度を維持しながら、空間を乾燥、加湿することは不可能です。そのため、管理パラメータとして最適ではありません。
相対湿度と違い、温度に左右されないのが露点温度です。そのため、露点温度が有用なパラメータとして使用されています。
露点温度と飽和水蒸気量(相対湿度)
空気中には、水分が含まれています。この空気の温度が高いほど水蒸気の量が多く、温度が低いほど少なくなります。
飽和水蒸気量(相対湿度)は、この空気中に含められる最大の水蒸気量のことです。飽和状態とは、空気がこれ以上水分を含めない状態のことをいいます。
湿度とは、この空気中に含まれる水蒸気量を表したもので、湿度が100%を超える温度を、その空気の露点温度といいます。水分をたくさん含んだ空気を冷やしていき、空気中の水蒸気量は飽和水蒸気量を下回り、水蒸気が液体の水に変わったのが結露です。
つまり、飽和水蒸気量を超え、結露が発生する温度が露点温度です。
結露が及ぼす影響
結露は放置すると、以下2つの影響を及ぼします。
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
人体に悪影響を及ぼす
結露を放置すると、湿気でカビが発生します。加えてカビをエサとするダニやチャタテムシなどの虫が発生します。
カビや虫の死骸や糞は、アレルギーの原因となるため、吸い込んでしまうと、以下のような症状を引き起こす恐れがあり注意が必要です。
- シックハウス症候群
- アトピー
- アレルギー性皮膚炎
- 鼻炎 など
結露は人体に悪影響でしかないため、十分に配慮することが大切です。
建物の寿命が縮む
結露による湿気は、建物の寿命を縮める原因にもなります。天井や壁、床などの建材のカビや腐食、サビなどにつながり、家の耐久性や性能を低下させてしまいます。
また、結露は目に見えない壁紙の中や床下などにも発生するため、気づかないうちに腐食や劣化が進んでしまう恐れがあります。結露により建材などの木材が湿ってしまうと、シロアリ被害の発生原因にもつながるため要注意です。
露点温度の調整は結露対策に有効
結露は上記で紹介したようにさまざまな影響を及ぼします。そのため、露点温度を調整することは結露対策に有効です。
建物内は人の呼吸や調理、お風呂、シャワーの利用、観葉植物、洗濯ものなど水蒸気が発生する原因はたくさんあります。そのため、空気中の水蒸気量を減らし、湿度を調整することは結露防止に最適です。
キッチンや浴室などの水蒸気が多く発生する場所は換気を徹底し、室内を除湿して適切な湿度を保つ必要があります。加湿器や除湿器などの空調機器で機械的に湿度を一定に保つのも方法の1つです。
露点温度に着目していなかった方は、結露対策をするために、目を向けてみてください。
結露対策には高気密・高断熱住宅が最適
結露の大きな原因は温度差です。そのため、結露対策には、室外の影響を受けにくく、室内の熱が室外に逃げにくい、高気密・高断熱住宅が最適です。
断熱性が高いと室内外の温度変化が伝わりにくく、快適な温度環境を保てます。気密性が高いと、住宅の隙間が少ないため、空気の無駄な出入りを防げます。さらに、気密性が高いと室内にある湿気を外壁内に通しにくいです。
結露には目に見える部分に発生する表面結露と目に見えない部分に発生する内部結露の2種類あります。
表面結露には、断熱性能の高いものを使用し、室内に露点以下の表面温度を作らないのが最適な対策です。内部結露には、気密性能を高め、吸放湿性の高い断熱材の使用が適切です。
そのため、露点温度を調整し、結露の発生を防ぐためには、高気密・高断熱住宅が最適です。
まとめ
この記事では、露点温度と結露の関係性について、露点温度に関して、結露が及ぼす影響、結露対策に有効な対策を紹介しました。
露点温度を調整し、結露を防ぐためには、施工段階から対策を施しておくことが必要です。予算を考慮しながら、担当スタッフと相談してみてください。しっかり結露対策を行い、快適な室内環境を作りましょう。
本記事があなたのお役に立てることを願っております。