「C値ってなに?」
「C値ってなんで重要なの?」
家づくりに取り組む中で必ず一度は聞くであろう『C値』という言葉。しかし、急にC値といわれても何かわからず、難しいイメージを持つ人も少なくないでしょう。
C値は、快適な住まいを実現するために重要な役割を担う要素のひとつです。家づくりの際にC値を意識できれば、光熱費削減効果や結露の防止など、さまざまなメリットがあります。
これから家づくりに取り組む人なら必ず知っておくべきことです。C値を意識しないと、高性能の住まいにしたはずが、思っていたよりも快適ではなかったという結果につながることもあります。高いお金を払ったのに後悔することは避けたいはずです。
そこで本記事では、C値について徹底解説します。C値が重要な理由やC値の基準についても解説するため、快適な住まいを実現したい人はぜひ参考にしてください。
C値とは
C値とは、住宅における相当隙間面積を表します。端的にいうと、家にどれだけの隙間があるのか、住まいの気密性を測る指標です。
数値が小さいほど、気密性が高いということを示します。C値は実測値のため、事前に計算で算出することはなく、気密施工が終了した段階で計測するのが一般的です。
しかし、全ての住宅会社が必ず気密測定を行なっているわけではありません。むしろ、全棟に気密測定を行っている会社はほとんどないのが実情です。
そのため、住まいの気密性を知りたい人は気密測定を依頼する必要があります。費用は3〜8万(業者にもよる)ほどのため、住まいの気密性にこだわりたい人は測定してみましょう。
C値が重要な5つの理由
ここからはC値を深く理解するために、C値が重要と言われる理由を見ていきましょう。
- 快適な室内温度を実現する
- 結露を防止する
- 有害物質の侵入を防ぐ
- 施工品質を担保できる
- 光熱費を削減できる
それぞれ以下で詳しく解説するため、ぜひ参考にしてください。
快適な室内温度を実現する
C値が重要と言われる1つ目の理由は、C値が低いほど快適な室内温度を実現できることです。気密性が高い住まいは隙間が少ないため、外気の影響を受けにくく、室内の熱を逃がしにくくなります。そのため、室内の温度差が少ない快適な室内環境の実現が可能です。
家全体を一定の温度に保てることで、ヒートショックなどのリスクも軽減できるため、住む人の健康面を守ることにも繋がります。C値を意識することで夏涼しく冬暖かい、快適かつ安全な住まいの実現が可能です。
結露を防止する
C値が重要と言われる2つ目の理由は、C値が低いほど結露を防止できることです。気密性の低い住まいは、外壁や床などから湿気が入り込み結露が発生しやすくなります。結露はカビやダニを繁殖させ、住む人の健康被害リスクを高めるため注意が必要です。
また、気密性が低いと住まいの大敵である内部結露を発生させます。内部結露は知らないうちに柱などの構造材を腐らせ、住まいの耐久度を低下させるため特に気をつけなければなりません。
C値を意識することで、耐久性が高く、結露の心配がない住まいを実現可能です。
有害物質の侵入を防ぐ
C値が重要と言われる3つ目の理由は、C値が低いほど有害物質の侵入を防げることです。最近では、昔よりも花粉やPM2.5、黄砂などの有害物質が増えています。気密性が低いと建物の隙間から有害物質が侵入し、住む人の健康被害の原因になるため注意が必要です。
C値の低い住まいは、隙間が少ないことで有害物質の侵入を防ぎ、快適な住空間を実現します。また、気密性が高い住まいは換気の効率が良いため、いつでも新鮮で綺麗な空気を室内に取り込むことが可能です。
快適かつ安全な暮らしを送るためにもC値は非常に重要になります。
施工品質を担保できる
C値が重要と言われる4つ目の理由は、施工品質を担保できることです。C値が重要になる最大の理由が施工品質を担保できるところにあります。
気密性の高い住まいを実現するには、高い技術力と幅広い知識が必要です。つまり、『気密性の高さ=住宅会社の実力』を示します。
C値の優れた住まいを建てられる会社を選べば、施工ミスのない高品質の住まいを実現可能です。家づくりで難しいとされる会社選びもC値を参考にすればとてもしやすくなります。会社選びのポイントとしてうまく活用してみましょう。
光熱費を削減できる
C値が重要と言われる5つ目の理由は、光熱費を削減できることです。C値が低く気密性の高い住まいは、外気の影響を受けにくく、室内の熱を逃しにくいという特徴があります。
エアコンの効率を向上できるため、使用頻度の減少に繋がり光熱費の削減が可能です。電気代が上昇傾向にある昨今において、光熱費を削減できることは大きなメリットになります。
今後も電気代の上昇が予想されるため、C値をうまく活用して毎月のランニングコストを減らした経済的な暮らしを実現しましょう。
C値の基準
C値の重要性がわかったところで、どれくらいのC値にするべきなのか気になっている人も多いでしょう。しかし、家づくりにおいて重要な役割を担うC値には現在、国が定める基準がありません。
なぜなら、施工前に数値が計算できないことや施工後の検査にコストがかかるという理由から削除されてしまったためです。2002年までは寒冷地でC値2.0㎠、その他の地域でC値5㎠という基準が使われていましたが今は存在しません。そのため、現在ではC値が1.0㎠を超えると適切な換気が行えないという理由から、C値1.0㎠以下が基準となっています。
しかし、C値1.0㎠は住まい全体でハガキ1枚分の大きさの穴があいているのと同じであり、十分な数値とはいえません。高気密にこだわるのであれば、気密施工に慣れている会社が容易に出せる数値である、C値0.7㎠以下をひとつの目安にしましょう。
高気密の家を建てる際の注意点
ここでは、高気密の家を建てる際の注意点を解説します。意識すべき点は以下の3つです。
- シックハウス対策をしっかりと行う
- UA値も一緒に考える
- 窓の設計を考える
それぞれ以下でわかりやすく解説するため、ぜひ参考にしてください。
シックハウス対策をしっかりと行う
1つ目の注意点は、シックハウス対策をしっかりと行う必要があることです。シックハウスとは、住宅の建材等から発生する化学物質などによる空気汚染がきっかけで起こる健康被害のことを指します。症状は頭痛や吐き気、目がチカチカするなど人によってさまざまです。
高気密の住まいでは、室内の熱と共に化学物質も逃がしにくいため、汚れた空気が充満しやすいという特徴があります。24時間換気システムを導入するなどして、シックハウス対策をしっかりと行いましょう。
他にも、化学物質が発生しない建材『F☆☆☆☆』(エフフォースター)や自然素材を取り入れるという対策方法もおすすめです。
UA値も一緒に考える
2つ目の注意点は、UA値も一緒に考えることです。UA値とは、住まいの断熱性能を数値で表した指標であり、C値と共に活用することでより快適な住まいを実現できます。
C値だけが低くても、UA値が高ければ真に快適な家とはいえません。なぜなら、外気は入ってこないものの、断熱性が低いことで床や天井から熱が伝わり、足元の冷えや室温のムラが起きてしまうためです。
逆にUA値だけが低くても、壁や床から逃げる熱は少なくできますが、隙間から外気が入ってきてしまいます。本当に快適な住まいを実現するために、C値とUA値はどちらも確認しておきましょう。
以下の記事でUA値について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
窓の設計を考える
3つ目の注意点は、窓の設計を考えることです。窓は家の中で最も熱の出入りが激しい場所のため、気密性にこだわるなら窓の設計はとても重要になります。
また、窓ガラスだけでなく、サッシにも気を配ることが大切です。見落としがちですが、サッシ部分からも熱などは伝わります。サッシの性能が低いと、隙間があることで外気の影響を受けたり、結露が発生しやすくなるため注意が必要です。
窓ガラスではトリプルガラスやLow-E複層ガラス、サッシでは木製や樹脂製のものを取り入れるようにしましょう。
まとめ
本記事では、C値が重要な理由やC値の基準についてなど、C値について徹底解説しました。C値を意識した家づくりができれば、光熱費の削減や結露の防止など多くのメリットがあります。
他にも、C値は会社選びにも役立つ便利な指標です。そのため、C値0.7㎠以下をひとつの基準として家づくりに取り組んでみましょう。
家づくりは人生で最も高額な買い物になります。後で後悔のないように、本記事で解説した内容を忘れないようにしてください。
あなたの家づくりが満足のいく結果になることを願っております。