家を内側から壊す躯体内結露とは?発生する理由や対策まで解説

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「躯体内結露ってなに?」
「躯体内結露を防止するにはどうしたらいいの?」

家づくりに取り組む際に、デザインや間取りを重視したおしゃれな住まいにしたいという人は多いでしょう。もちろん、あなたのこだわりをかなえることはとても重要なことです。

しかし、家づくりの際には躯体内結露への対策を行うことが絶対条件になります。なぜなら、躯体内結露が発生してしまうと、築3年ほどの家でも腐ってしまうことがあるためです。せっかく念願のマイホームを建てたのに、築3年で家が腐ってしまうということは避けたいはず。

そこで本記事では、躯体内結露について徹底解説します。あわせて、躯体内結露の起こる原因や対処法についても解説しているため、後悔したくない人は必ずチェックしてください。

目次

躯体内結露とは

躯体内結露とは、窓ガラスなどにできる結露とは異なり、壁の中で発生する結露のことを指します。内部結露とも呼ばれ、住まいを壊す大敵のひとつです。

躯体内結露は壁の中で発生するため、目で確認することが難しく、気づかないうちに住まいを侵食しています。壁の色が変色したり、リフォームの際に壁を剥がすことでやっと気づくこともあり、注意が必要です。

躯体内は、住まいにも人体にも悪影響しか及ぼさないため、しっかりと対策をとるようにしましょう。

躯体内結露が発生するメカニズム

躯体内結露は、水蒸気を含んだ暖かい空気が急激に冷やされることで発生します。空気には温度によって含むことのできる水蒸気量が決まっており、暖かい空気の方が冷たい空気よりも多くの水蒸気を含むことが可能です。

つまり、暖かい空気が壁の中で冷やされることで含むことのできる水蒸気量が減り、溢れた分が躯体内結露となって表れます。夏は外気の暖かい空気が室内の冷たい空気に触れることで結露となり、冬は室内の暖かい空気が外気に触れることで結露になるという仕組みです。

躯体内結露が注目されるようになった背景

躯体内結露が注目されるようになった背景のひとつに北海道での失敗があります。かつて、北海道の厳しい寒さに耐える家を建てるために、住宅会社が断熱材の厚さを競い合うという時期がありました。

分厚い断熱材を機械でプレスして施工する新しい工法が注目を浴びるなどしましたが、数年後に家の構造材が腐り始めます。原因は、分厚い断熱材を詰め込んだことで壁内の水蒸気が行き場をなくし、躯体内結露になったというものです。

住まいの断熱性能を上げることは快適性の向上につながりますが、躯体内結露のリスクを増加させることでもあります。躯体内結露は住まいをダメにする最大の要因です。家づくりを行う際には必ず、結露対策を考えたプラン作成をしましょう。

躯体内結露が与える影響

躯体内結露が与える影響について見ていきましょう。代表的なものは以下の2つです。

  • 家の耐久度が下がる
  • 住む人の健康被害につながる

それぞれ以下でわかりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてください。

家の耐久度が下がる

1つ目の影響は、家の耐久度が下がるということです。躯体内結露が発生すると、木材を劣化させる要因となる木材腐朽菌が増殖します。

住まいの柱や梁などの構造材を簡単に腐らせてしまうため注意が必要です。以下は躯体内結露によって腐ってしまった断熱材と木材の実際の写真になります。

出典元:Zelkoba Design

躯体内結露は知らないうちに家を崩壊させるとても恐ろしいものです。また、躯体内結露が起こるような場所にはシロアリがよってきて、住まいの耐久度を低下させます。

上記のような理由によって、耐久度が低下した家は地震などによる災害時の倒壊リスクが高まるため注意しましょう。

住む人の健康被害につながる

2つ目の影響は、住む人の健康被害につながることです。躯体内結露が発生すると、以下のような危険なカビが繁殖します。

  • コウジカビ(ぜんそく、肺アスペルギルス症の原因)
  • クロカビ(さまざまなアレルギー疾患の原因)
  • アオカビ(真菌アレルギー疾患の原因)

また、カビが好物であるダニも寄ってくるため注意が必要です。躯体内結露は、住まいをいるだけで健康被害リスクのある家に変えてしまいます。そのため、しっかりと対策を行うことが重要です。

躯体内結露を防ぐ3つのポイント

躯体内結露を防ぐポイントを見ていきましょう。意識すべきポイントは以下の3つです。

  • 結露対策を考慮したプランを立てる
  • 防湿気密シートをはる
  • 通気層を作る

のちに後悔しないためにも必ず確認しておきましょう。

結露対策を考慮したプランを立てる

1つ目のポイントは、結露対策を考慮したプランを立てることです。躯体内結露を防止するためには、設計段階から対策を講じる必要があります。

複雑なデザインの外観にすると隙間ができやすくなったり、湿気がこもりやすい部分ができる可能性があるため注意が必要です。24時間換気システムや断熱の施工方法、窓・サッシの性能などにこだわることをおすすめします。

また、高気密高断熱住宅にすることも効果的な結露対策のひとつです。中途半端な断熱性能は結露のリスクを高めるため、なるべく高性能にしましょう。

防湿気密シートをはる

2つ目のポイントは、防湿気密シートを貼ることです。防湿気密シートとは湿気を遮断して気密性を高めるもので、外壁の内側に貼り付けます。

室内の暖かい空気が外気に触れるのを防ぐため、結露を防ぐことが可能です。しかし、防湿気密シートは貼り付ける際に高い技術力が必要であり、完璧に施行されないと効果を発揮しません。

あなたのお住まいの地域の気候や通気層の有無などによって適切な施工方法が変わるため、実績の豊富な会社に依頼しましょう。

通気層を作る

3つ目のポイントは、通気層を作ることです。通気層とは、外壁と構造躯体の間に外気が通り抜けられるように設けた空間のことを指します。

通気層によって、外壁から侵入した雨水が躯体内に侵入するのを防いだり、躯体内や室内の湿気を外部へ排出することが可能です。躯体内で湿気が留まることがないため、躯体内結露のリスクを軽減できます。

通気層を作る際には高い技術力が必要であり、会社選びには十分に注意しましょう。施工力がない会社に依頼すると、施工ミスで通気層が塞がってしまい効果を発揮しないことがあります。実績の豊富な会社を選ぶことが重要です。

躯体内結露は1年中起こるため注意しよう

結露といえば、冬に起こるというイメージを持っている人も少なくないでしょう。しかし、躯体内結露の厄介な点は1年中発生する可能性があるということです。

特に夏は湿度が高いため、注意しなければなりません。なぜなら、気温が高くなることで木材の水分が滲みでて結露を起こすこともあるためです。

また、エアコンが効いている部屋と効いていない部屋の温度差で結露が発生することもあります。高気密高断熱にすることは、上記のようなリスクをなくすことにもつながるため、ぜひ取り入れてみましょう。

躯体内結露を防止するなら外断熱にしよう

躯体内結露を防止するなら外断熱にすることをおすすめします。外断熱とは断熱工法のひとつであり、外壁と柱の間に断熱材を施工して家を断熱材で丸ごと包み込む方法です。

非常に高い断熱性・気密性を持ち、外気の影響をほとんど受けないため、温度変化による躯体内結露を防ぐことが可能です。また、外断熱には壁の中に通気層があり、水蒸気を屋根から逃すことで躯体内結露を防ぎます。

つまり、上記で解説した躯体内結露を防ぐ3つのポイント全てを網羅している方法が外断熱ということです。もうひとつの断熱工法である内断熱より光熱費も削減できるため、積極的に取り入れてみましょう。

以下の記事で外断熱について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

まとめ

本記事では、躯体内結露の起こる原因や対処法について解説しました。躯体内結露の最も厄介なところは、普段見えない部分で起こるため見つけにくいということです。

気づいた時には既に手遅れになっています。そのため、躯体内結露を未然に防ぐための対策を取ることが重要です。本記事で解説した内容を踏まえたうえで、家づくりに取り組んでみてください。

また、住まいの断熱工法は外断熱を取り入れるようにしましょう。外断熱によって躯体内結露の不安がない、本当に家族が安らげる住まいを実現してください。

本記事があなたのお役に立てることを願っております。

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